病院機能評価はチャンピオンカルテで乗り切れるのか!?
病院機能評価特有のキーワードとも思える用語に、「チャンピオンカルテ」という言葉があります。自信を持って審査に臨むことができる、いわば「審査を見据えて入念に準備されたヌケモレのないカルテ」という意味合いで語られることが多い印象があります。
この記事では、チャンピオンカルテで3rdG:Ver.3.0の病院機能評価を乗り越えることができるのか、解説していきたいと思います。

2012年以前
2012年以前、病院機能評価Ver.6.0の時代は、ケアプロセス調査(患者のカルテを見ながら、診療の状況を確認する調査)でも項目ごとの審査が行われていました。
- サーベイヤーから「手術の症例を見せてください」と言われれば、手術を実施した患者の中から、説明・同意の記録、麻酔科医による術前訪問の記録、術後のIC記録までしっかり書けているカルテを提示する。
- サーベイヤーから「輸血の症例を見せてください」と言われれば、輸血を実施した患者の中から、輸血が必要だと判断された記録や、輸血実施時の観察記録も適切に残されたカルテを提示する。
このように、審査項目ごとに適切に記録が残されているカルテを選定して提示することが可能でした。あえて言えば、たまたま記録がちょっと不足していた症例などは、病院側がその症例を提示しない限り見られなくて済んだのです。
つまり、Ver.6.0の時代は、項目ごとにチャンピオンカルテを作っておけば対応が可能でした。
2013年4月~
2013年4月より開始された、3rdG:Ver.1.0から、ケアプロセスは「症例トレース型」と言われる形式が導入されました。典型的症例と呼ばれるメインカルテを1症例選択し、その患者さんの外来受診⇒入院⇒検査⇒手術⇒リハビリ⇒退院などの一連の流れを、順を追って説明・審査していく形式です。この典型的症例でどうしても説明できない項目(上記例ではターミナルなど)は別症例で項目ごとの提示が可能です。
3rdG:Ver.1.0からは、多くの審査項目を典型的症例で網羅することが必要となりました。よって、たとえ手術の項目が完璧な記録だったとしても、その患者さんの看護アセスメントが漏れていた、となると、その項目では課題が挙げられる、というような審査方法になりました。
3rdGの時代は、1人の患者さん全体でチャンピオンカルテが必要になった、とも言えるでしょう。
それだけではありません。
3rdG:Ver.2.0からは、症例の選択において、病院側が選べる症例の数に制限がかかりました。詳しくはここでは割愛しますが、一般病院2では4回のケアプロセス審査のうち、病院側が指定できる典型的症例は2症例のみとなりました。他の2症例は、準備した3症例のうちから、審査当日に機構が1症例指定する、という形式となりました(ポイント部分に絞って記載しております)。
要は、あらかじめ特定のカルテをチャンピオンカルテとして準備する、というよりも、どのカルテが選定されても良いように、日々のカルテ記載をしっかりさせていく、という準備が必要になってきたのです。
3rdG:Ver.3.0ではチャンピオンカルテの作成はほぼ無意味に
2023年4月から開始された3rdG:Ver.3.0では、前述したケアプロセス審査の病院側が指定できる典型的症例が1症例のみになったことに加え、一般病院3以外にもカルテレビュー審査が導入され、特定のカルテを「チャンピオンカルテ」として準備することはほぼ意味がなくなった、と言えます。
3rdG:Ver.3.0の変更点のまとめは以下の記事をご覧ください。
カルテレビューの詳細は以下の記事をご覧ください。
カルテレビューは、言わばカルテのランダム審査です。
受審1ヶ月前の1日~7日に退院した患者、という期間の制限はあるものの、この期間に退院した全診療科の患者のカルテがランダムで選ばれるため、どのカルテが選ばれても良い状態、言い換えれば「すべてのカルテがチャンピオンカルテ」、という状況を目指さなければ、審査を乗り越えることが難しくなってきているのです。
ぜひ、「特定のカルテのみを入念に作り込もう」という思考から、「すべてのカルテがいつ見られても大丈夫な状態に病院全体として取り組もう」という思考に切り替えていただきたいと思っています。
本来の意味でチャンピオンカルテを作るには
本来の「チャンピオンカルテ」とはどのような意味合いでしょうか。これまで、「受審の準備のために入念に作り込まれたカルテ」という意味合いで語ってきましたが、本来の意味は、「病院が定めたルールに則って書かれた理想的なカルテ」というのが正しい意味合いではないでしょうか。
すべてのカルテを理想的な状態にするには、以下のPDCAサイクルが大切です。
- P:診療録の記載基準を整備する
- D:診療録の記載基準を周知し、基準に則って全医師がカルテを記載する
- C:定期的な監査をする(量的点検・質的点検)
- A:監査結果をフィードバックし、漏れがちな項目を周知し、強化する
これまで数多くの病院様をご支援していますが、上記のPDCAサイクルを回せている病院様は本当に限られている印象があります。
カルテを充実させることは、病院機能評価に対応する上でももちろん大切ですが、有事の際に皆さん自身を守るためにもとても大切なこととなります。
ぜひ、病院機能評価の受審をきっかけに、本来の意味でのチャンピオンカルテを作ることを病院全体で目指し、充実したカルテを作る風土を作っていきましょう。
全国津々浦々、様々な機能種別の病院様をご支援している弊社だからこそお伝えできる知見があります。コンサルティングを検討されている病院様だけでなく、自力で病院機能評価を受審している病院様も、ぜひ一度、弊社にお問い合わせください。
3rdG:Ver.3.0の受審に向けた勉強会を実施するだけでも、審査の傾向・ポイントが分かり、受審に向けたスムーズな対策・準備を進めることができるようになります。

カルテ記載でお困りの病院様、PDCAサイクルを整えるコツを知りたい方は、ぜひ一度、弊社のコンサルティングサービスもご検討いただければ幸いです。
投稿者プロフィール

- 機能評価Lab代表
-
大手医療系コンサルティングファームにて従事後、株式会社機能評価Labを創業。
病院機能評価の認証取得支援を中心として、日々、全国の病院様にご訪問しています。
会社案内に掲げている7つのコンサルティングポリシーを信念に、現場の皆さんとともに改善に取り組みます。
最新の投稿
2023年9月26日病院機能評価はチャンピオンカルテで乗り切れるのか!?
2023年3月14日一般病院3の審査傾向