受審回数5回。病院改善を継続できる理由とは?
病院情報
病院がある地域 | 関東地方 |
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病床規模 | 500床以上 |
機能種別 | 一般病院2 |
受審回数 | 5回目 |
今回お話を伺った人 | 経営企画課長、経営企画係長 |
弊社の関わり方 | 現状調査とケアプロセス支援 |
インタビュー

今回は貴重なお時間をいただきありがとうございます。
貴院の病院としての受審経験は4回、今回は5回目の受審ですが、そもそも病院機能評価を受審する目的から伺ってもよろしいでしょうか。

最近では診療報酬の要件になってきたことが大きいと思います。当院でも取得している診療報酬に第三者認証が要件となっているため、以前から受審している病院機能評価に、より一層力を入れる必要が出てきたと考えています。
しかしながら、それだけが目的ではありません。当院の昔からの風土、またそれを創られてきた病院長の長年の教えも大きいと思います。それは、ダーウィンの進化論です。生き残るためには常に変化に対応できることが大切であり、そして変化をし続けていくためには、常に挑戦する姿勢が大切だという教えです。挑戦の一環として、この病院機能評価も当然のように受ける風土になっています。また、受けるからには、より良い評価で合格しよう、という共通認識があると思います。

素晴らしい組織風土ですね!
ちなみにお二人は病院機能評価のご経験はありましたか。

はい、我々ともに3回以上の経験があります。

それはもうベテランの域ですね!
今回はどのように準備を進めてこられたのですか。

我々は更新受審なので、今から3年前(前回受審の2年後)に期中の確認として機構に書面を提出しています。
その時点で、当院としての前回受審時からの課題は既にわかっていたので、どう対応していこうか手を打ち始めていました。前回B評価だった点はもちろん課題ですが、A評価でも「イエスバット法」で書かれた項目があります。要は、この点は良いけれども、この点も改善できるとなお良い、という書かれ方をした項目ですね。我々はその項目も課題と認識して対策を講じてきました。
本格的な準備として委員会を立ち上げたりしたのは受審の1年前くらいですね。

メンバー選定などはどのように進められたのですか。
医師などは昔から関わってくれていたのですか。

受審の初期の頃、Ver.5.0より以前でしょうか、その頃は医師はメンバーにすら入っていませんでした。その頃は事務がなんとかして乗り切った記憶しかありませんが、Ver.6.0くらいから医師も関わるようになったと記憶しています。

やはり医師の関わりは大切ですか。
どのようにして医師を巻き込む体制を作られたのでしょうか。

当院の毎年のルールとして、年度末から年度初めに、来期どのような委員会やワーキンググループが必要か精査する取り組みがあります。既存の委員会はもちろん、病院機能評価など数年に1回の取り組みもありますから、毎年、メンバー構成も含めて全ての会議・委員会・ワーキンググループを見直すのです。
今年は病院機能評価の受審に向けて委員会を立ち上げる必要があることの他、具体的なメンバー構成も含めて事務で案を作成し、トップに提出しました。そこに、医師の関わりも必要である旨を盛り込み、実働部隊としての各項目のメンバー案も事務サイドで考えました。上層部にはやはり医師の管理者を配置してもらうようにし、細かな各項目については、診療と看護の相性や、コメディカルの関わりも含めて適材適所になるように考えました。
結果として上層部の構成はトップの意向なども踏まえて多少の調整があったようですが、現場のメンバーについてはほぼ素案どおりで行くことになりました。
各領域の責任者としては、1領域に看護部長、2領域は診療部長、3領域は副院長、4領域には事務部長が担うことになりました。2領域は病棟概要確認やケアプロセスが主な内容となるので、看護はもちろん関わりますが、医師の関わりが必要不可欠との考えから、医師、しかもある程度の権限を持った医師という意味合いで診療部長の先生が責任者となりました。

なるほど、2領域イコール看護、のように、職種のイメージでメンバーを考えてしまいがちですが、関わりを強めて欲しい方や、権限も含めて考えていらっしゃったのですね。
機能評価の準備を進める上では、多職種の関わりが必要不可欠になる項目も多くありますよね。貴院はタテ割りではなく、ヨコのつながりが強いように感じます。職種の垣根なく協力してくれる体制というのはどう築いていらっしゃるのですか。

それは、機能評価だから、というものではなく、普段からの関わりが非常に大切だと思っています。いくら病院機能評価で困っているからと言っても、受審時だけ協力を仰ごうとしたってうまくいくものではありません。普段から協力し、信頼しあえる組織になっているかがそもそも大切だと考えています。
我々事務職員としての経験からお話すると、普段から、いかに他の職種への貢献ができるか、常に考えていますよ。医師から「こんなデータが欲しい」と言われれば、最適なデータを早く・正確に出せるように考えます。看護部から業務量調査の相談を受ければ、データ集計の手間を最小化できるようにエクセル・マクロなどの面から貢献ができないか考えます。何かの記録表を作ることだって、たとえ事務で使うものではなかったとしても、事務の強みが発揮できる場所ですから、率先して作成することを申し出る。事務職員は現場で患者さんと直接関わるわけではありませんから、いかに医療職をサポートし、アシストできるかが大切なのです。
普段からそのような貢献をしていれば、機能評価で協力を仰ぐ際も、「事務が言うのなら協力しましょう」という風土が創られます。

この話、機能評価だけでまとめるにはもったいないですね。
機能評価のどの項目でも、自発的に協力体制が生まれるのですか。

それは2パターンありましたね。自発的に協力するパターンと、トップダウンで既存の委員会等に落とすパターンがありました。3領域の責任者をしてくれた副院長先生がそのあたりの采配がうまかったと思います。できる限り、新たにワーキングなどを立ち上げるのではなく、既存の委員会等で検討できないか考えてくれました。
既存の委員会等で検討できれば、自然と多職種も関わりますし、新たに立ち上げる労力も必要ありません。早い段階で既存の組織で検討できる体制を組むことも大切な要素だと思います。

事務としては、もちろんメインの4領域には関わるとして、他の領域には関わらなかったのですか。

いえ、1~4領域のすべての領域、すべての項目に事務が関わっています。打ち合わせには必ず書記が必要ですし、段取り役としても事務は必要不可欠だと思っています。3領域でも、例えば診療情報管理部門の項目でも医事課が関われば相乗効果が生まれます。2領域でもケアプロセスでは病棟配属のメディカルクラークさんなどに関わってもらいましたね。
また、4領域についても工夫をしました。ただ4領域を対応するためなら課長クラスで良いですが、できる限り若手に関わってもらいました。それは後進育成のためです。やはり機能評価は5年後もまた続きますから、その場しのぎではなく、継続的に改善できる仕組みをメンバー構成からも考えるべきだと思います。

なるほど。持続性を考えること、これも大切ですね。
いろいろ伺ってきましたが、その他で、準備面で大切だなと感じるポイントってありますか。

看護部の関わりではないでしょうか。医療安全をはじめ、多くの項目で関わるのが看護師さんだからです。当院は事務が主軸となって調整などをしてはいますが、病院によっては事務と医師の距離があまり近くない病院もあろうかと思います。
しかし、看護と関わらない職種ってほぼないですよね。医師にも看護師さんは近くで関わりがある。医師にものが言えるのも、看護師さんだったりしませんか。そういう意味で、看護師さんをうまく巻き込んで、プロジェクトを推進してもらうかもとても大きなポイントだと思いますね。

そうですね。看護部は大所帯ですからね。
他の病院様でも参考になる話をたくさんありがとうございました。
貴重なお時間をいただきありがとうございました!
インタビューを終えて
今回の病院様は、弊社のコンサルティングとしては、現状調査とケアプロセス支援を主に実施させていただきました。現状調査で課題の洗い出しができれば、それぞれの改善活動は現場主導でできるくらい組織がしっかりしていることは、今回のインタビューでも改めて実感できたところです。
そんな中でなぜコンサルティングを依頼するかと言えば、ある程度の「外圧」が必要となる場面もあるから、とのことでした。院内だけでもできるけれど、あえて第三者に言ってもらうことで適度な外圧がかかり、内部で進めるよりもスムーズに事が運ぶ場面も多々あるのだとおっしゃっていました。
必要時、うまく外部を活用するあたりも、事務のプロフェッショナルさが伺えますね。
今回、記事には載せきれなかったキーワードを挙げれば、それは「持続可能性の追求」です。常に自立・自走できる組織を目指し、数年先を見据えて、後進の育成を踏まえた検討があらゆる場面でされている印象を受けました。サステナビリティが大切とされる世の中になっていますが、病院機能評価の準備でも持続可能性の視点は非常に大切なポイントになってくると思います。
弊社担当者コメント
こちらの病院様は、私たちがご支援にお伺いをすると、いつも完璧な会場準備・関係職種への周知・共有がされていました。そのような部分にも、まさにインタビューでお話いただいている「段取り力」の素晴らしさが表れていました。
また、今回のインタビューでは事務のご担当者様にお話を伺いましたが、毎回、機能評価の責任者である診療部長が支援の場に参加し、その場で改善・対応策について指示を出されていたことも、改善活動の大きな推進力となっていたと思います。
さらに、病院全体としても、課題があれば各職員がそれを自分事として捉え、一丸となって協力し、改善をしていこうという風土がしっかりと根づいていました。それは、各職種が自分の仕事に誇りを持ち、プロフェッショナルとして対等に認め合っているからではないかと感じます。
世代が変わっても、この素晴らしい風土が引き継がれ、さらなる発展をしていかれることを願っています。